ベストフィッシュは1日にしてならず

ベストフィッシュは1日にしてならず

俺に!魚を!釣らせろ!

某有名アングラーにあってクソ塩対応していただいた話

 


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はじめに

 

皆さんは、どうやってシーバスフィッシングを始めましたか?

私の場合は、釣りキチのようなお友達の影響でした。

その友達は生まれてからずっと竿を握ってきて、高校生の時に私と出会いました。

長期休暇にバイクで遠出するとなれば三浦や若洲で釣りに付き合わされ、当時の私は辟易していた思い出です。

ところが大学に入学して私の釣り嫌いは一変します。何故変化したのかいまだに分かりませんが、思い立って港湾部で釣りをしてみたらたまたまセイゴの巣に出くわし、胴付仕掛けで50匹は釣りました。

私にとって強烈な成功体験でした。同時に鮮明なスズキとの出会いでもあります。

 

その時にやたらと重装備な釣り人を見かけました。釣り自体にそんなに明るくない私でしたが、なんとなくそれがルアー釣りなんだろうなと察しがつきました。機能美あふれる彼の後ろ姿を私はいまでも覚えています。

ゲームベストを着ていて、背中のD環にタモを差し込み、蚊に刺されぬように黒のレギンス、短パン、長袖のアンダーウェアとTシャツで身を包んでいました。

その姿に私はあこがれと興味を抱きました。男の子はたいがいガジェット好きなのです。

 

それから話は早かったです。youtubeでシーバスフィッシングの動画を鑑賞をして、関連の諸ブログを読み耽り、知識の集積を重ねていき、道具を買い、釣り場に立ち、そして今に至ります。

 

知識を獲得するのにYoutubeは大きな役割を担っていたと思います。

登場するプロアングラーが釣る姿に、釣り欲を滾らせていました。

 

平成世代の方であれば、部分的に異なる部分があれど、私と通ずるものがあるのではないでしょうか。

 

ついに出会う


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かくかくしかじか、私は毎日のようにシーバスの販促動画を鑑賞していたので、登場するプロアングラーの名前はほとんど覚えていました。

また、釣りをするたびに、心のどこかで「もしかしたらプロアングラーの人見かけて、その生の姿を学べるかも」と考えていたこともありました。

 

シーバスフィッシングを始めて1年と半分を迎える頃、ついにどこかで見たことがある人を見かけます。

 

「○○○○○だ!」。私はすぐに気が付きます。

特徴的な髪型のその人は、後ろ姿でも十分に○○○○○であることが分かりました。

どうしよう、と私は思いました。とりあえず後ろから見て、どういう釣りをしているか見てみようと思い、参考のために眺めることにしました。

その人は普段私なら見向きもしない、明暗ではないエリアで丹念にルアーを流していました。なるほど、学びになります。

10投もしないうちに彼はロッドにルアーのフックをひっかけ、その場を後にします。つまりそれは後ろにいる私の存在に気づく瞬間でもありました。私は順路に立っていたため、彼は私に近づいてきます。

改めて顔を見ると完全に○○○○○でした。動画の中でしか見たことがないのでこの世にちゃんと実在するんだ、と不思議な感心をしました。

顔が互いに分かる距離になったとき、ようやく彼と私の目が合いました。

 

私は意を決して「○○○○○ですよね」と声を掛けます。

「そうです」。彼は抑揚のない声で答えました。

「本当に○○○○○ですよね?」。今思えば失礼も甚だしい問いかけです。完全に舞い上がってました。

「そうです」。このあたりであたりは気まずい雰囲気で充満してきました。しかし私はなぜか質問しまくれる千載一遇のチャンスと勘違いしてそのまま話を続けます。

「動画通り普段もここで釣りをされているんですね」

「はい。ランガンしてここにきました」

「コースなんですねえ、今日はどれくらい釣りましたか?」

「4匹です」

「すごいですね、さすがだ、僕なんてまだ釣れてませんよ」。

「そうですか」

「僕、○○○○○さんに憧れてシーバスを始めました。簡単に釣ってるように見えてすごいクールです」。この時すでに気まずい雰囲気で私の調子は完全に狂っています。

「ありがとうございます」

「これからも応援してます」

「ありがとうございます」

そういって○○○○○は去っていきました。

必要なことのみを答える非常にクールな受け答えでした。

 気まずさから解放された後、だんだんとこみあげてくる感情。

その感情の処理をどうすればいいか分からず、ときどき私は遠くなって見えなくなる彼の背中を見ていました。

 

 

.......

 

 

 

う、うう......

 

 

 

うWA---------ッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

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話しかけなきゃよかったahーーーーーーーー!!!!!!!!111111

 

なんだよあれ、完全にキモ・男の言動じゃねえか!!!!!!!

 

 

 

ムチャクチャ会話滑ったなあ...

彼、表情一つも変えなかったなあ....

もっと下手に出て、この場所においてどういうアプローチをすればいいか聞けばよかったのか?

 

 

 

はぁ....はぁ.....

 

 

 

 

 

 

 

う、うう、、、

 

ウワーーーーーーーーーーーtッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(再発)

 

 

 

その日はすごく疲れた気がしたので、家に着くなりすぐに眠りました。

 

その後


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日が経つにつれ私は自分の過ちに気づきました。

同時に、あの日から彼が出演する動画をしばらく見る気が起きませんでした。

最初の「本当に○○○○○ですか?」の問いかけは、「何言ってんですか本物ですよーw」を引き出すために用意した会話の起爆剤のつもりでしたが、見知らぬガキのクソみたいな策に大の大人がわざわざ乗る義理はないです。もっとも、彼との会話でわかったのはそういうフレンドリーさは持ち合わせていないということです。

 

3か月ほど経って私はようやくyoutubeのランダム再生で流れる彼の動画をなんとなく眺めることができました。

なるほど、先述の彼の特性は動画からも十分に感じ取ることができました。私は彼の釣る姿ばかりに注目するあまり彼自身を知ろうとしたことが無かったようです。

動画に映る彼の笑顔はハツラツとした彼のマインドによるものではなくて、魚を釣った喜びによるものだったことがいまさらになって分かりました。

 私がしたことはある意味○○○○○のプライベートに土足で踏み入るようなものでした。

まとめ

いくらプロアングラーが目の前で釣りをしているとはいえ、彼等にもプライベートがあるのです。もっとも、○○○○○の場合、というかプロアングラーほぼ全員が釣りをしているとき仕事を兼ねているはずです。スポンサー新製品や自社製品のテストです。

 

そうと分かったら私は二度とプロアングラーに話しかけることはないでしょう。

 

彼らは生きる為に釣りをしているのです。

その彼らに対してファン対応を求めるのはお門違いでした。

私はプロアングラーという偶像に憧憬を抱いていたのです。幾多の販促動画を見ているうちに。

今となってはプロアングラー即ち実演販売員といったドライな捉え方ができますが、私のような勘違いをしている方や個人崇拝のようなものを意図してるのか分かりませんが、誘発してるようなメーカーも最近は見受けられます。

 

中には素晴らしくフレンドリーな対応してくれる方もいるでしょう。

いつか私が期待した通りに教えてくれることもあるかもしれません。

そういう期待はしちゃいけないのです。一か八かで人の機嫌は損ねるものではありません。本当にその人を尊敬しているなら。

 

君/私は何しに水辺に立っているんだ。釣りをするためだろう。

 

ということで今回は黒歴史を語ってみました。自戒を込めて。